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預金履歴は真っ先に調査されています そんな調査が許されますか!?

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今月15日、南九州4県連合同による熊本国税局交渉に各県代表の10名が参加し、当局側は平山総務課長補佐が対応しました。

 要請内容は17項目で構成されていますが、2点について報告しますので皆さんもぜひお考えいただければと思います。

 まず一つは「本調査に入る前の取引先に対する反面調査」についてです。
 これが可能な場合について平山氏は、1)「納税者本人が当初から調査に対して協力的でない場合」2)「国税当局が保有する情報のみでは納税者本人に対する質問検査権行使の判断が困難な場合」を理由として述べました。

 1)の具体的な事例としては、①事前通知があった時、②調査目的の来署依頼が届いた時、③無予告調査があった時、等が思い浮かびます。これらは違法性が伺える調査(②③)も含まれていますが、百歩譲歩して納税者と一定の接触を経た上での判断として受け止めも可能です。

 しかし交渉団は、「調査ではなく、当局が任意でかつ不利益は無いとする行政指導文書(お尋ね/収支内訳書の督促/一般取引資料せん)に対する納税者の反応を非協力的と捉え、そのことを事前に反面調査が可能とする判断基準にしていないか!?」と追及したところ、平山氏は顔をしかめながら「あ、ありません」と明言しました。
 加えて平山氏は、「収支内訳書の未提出者よりも提出者に対する調査の方が多いと思いますが、、」と意味不明な見解も。平山氏の主張は当然と言えば当然である一方で、こちらが質問しているのは本調査の判断基準ではなくて「本調査に入る以前の反面調査の判断基準」であり全くもって答えになっていません。 

 一方で 2)です。
 これは言い換えれば「毎年確定申告書しか提出しないAさんの情報が少なかろうが多かろうがそこは税務署の判断。情報の量の問題ではなく、当局が必要と判断すれば本人に接触する前に取引先への反面調査は可能」と言わんばかりの口実です。果たして当局にそこまでの裁量権が法的に認められているのでしょうか、、(答え:いない)。

 そもそも反面調査とは当局自らが定めた税務運営方針で「客観的にみてやむを得ないと認められる場合に限って行う」とあり、これは「本人調査を最大限に尽くした末の補完的な調査」という位置付けが前提です。

しかし今や国税庁は「本調査前の反面調査はあり得る」と豪語しており、ともすれば習慣化されている危険性もあります。

 県内の民商が対応した過去の税務調査でも、納税者本人に質問検査権を行使する以前に取引先(主に銀行)に反面調査を実施された事例は少なくありません。

 このような税務当局側の認識や実態を踏まえつつ、例えば事前通知や調査目的の来署依頼、無予告調査等があった際には、担当署員に対し「既に私の銀行履歴は調べられているのでしょうか。だとしたら何故先に通帳を保有する私を調査しないのですか?」と、適正な調査手続きに納得がいくまで本調査を受けないことも大事な権利闘争です。

 同時に、「法令の遵守」を常套句とする税務当局に適正手続きを貫いてもらう重要な契機となります。反面調査の実施後に諦めることなく違法性を問うことも大切ですが、「事前に行かせない」為の声を対税務署に強めていきましょう。

  二つ目が国税庁が未だに「法的根拠も示せない調査」の一つ、「内観(おとり)調査」についてです。特に日銭商売をされている方に対して行われ、税務署員が税金を使って飲み食いしながらお店の情報を入手する火事場泥棒的な違法性極まりない悪行です。

 平山氏は国税庁通達の「調査とは(定義)」に触れつつ、「内観調査とは事業実態を収集するものであり、署員に認められた権限である」と、関連して「財務設置法第一九条」という条文も引用しながら説明にもならない回答に終始していました。

 一言多い平山氏は、「税務署員は日常的にもプライベートで店を利用し情報収集を行っていますがそれと何が違うのでしょうか?」との認識を示しましたが、私たち納税者側が問題にしているのは「公金を使用した内観調査に法的根拠があるのかどうか」であり、私的な行為まで問うていません。 この内観調査も前述の反面調査同様に「納税者の承諾など一切不要で、当局の判断でいつなんどきでも実施可能」が税務当局の基本的立場であることは明確です。

 こんなことではただでさえ「近寄り難い税務署」が税収奪組織にしか見られず、いつまで経っても民主的な税務行政は確立されません。

 「真の法令遵守とは何なのか」「法律に定め無き税務行政はどうあるべきなのか」の学習・対策を強め、自主申告権を守り抜いていきましょう。